足

足底腱膜炎

足の裏にある足底腱膜が炎症している状態が足底腱膜炎です。足底腱膜とは、足の裏に張っている膜状の腱組織のことで、足への体重負荷を軽減させるためのクッションのような役割を担っています。この腱膜がスポーツ（陸上競技や剣道など）や長時間の立ち仕事、サイズの合わない靴を履き続けるといったことで繰り返し刺激を受けるようになると足底腱膜の組織に細かい断裂が生じて炎症が起きるようになるのです。

症状としては、歩き始めに踵や土踏まずが痛むほか、症状が進行すると一日中痛むようになります。治療としては、まず足をしっかり休ませることが大切です。そしてサイズの合った靴を履く、痛みがある場合は足底に湿布を貼る、足底版を作成するといったことがあります。このほか、痛みが強い場合はステロイドの局所注射を行い、また足底腱膜のストレッチを毎日欠かさないようにします。

アキレス腱断裂

ふくらはぎと踵の骨を結ぶアキレス腱が断裂している状態です。断裂の瞬間は、「バチッ」という音が鳴ることもあります。この症状はスポーツ中によく起きるとされ、足首に負担のかかる動作を行った際に起こります。

断裂直後は切れた足側に体重をかけられずに転倒したり、しゃがみ込むことがありますが、しばらくすると歩行可能となることもあります。なお歩行が可能な場合、つま先立ちはできません。

主な治療法としては、ギプスや装具を用いる治療のほか、ご希望に応じて、断裂したアキレス腱を縫い合わせる手術も行います。この場合は、局所麻酔を使用し、1時間程度で終了します。ギプスや松葉づえを用いて、その日のうちにご帰宅いただけます。

外反母趾

足の人指し指（第2趾）の方に足の親指（母趾）の先が「くの字」の状態で変形している疾患が外反母趾です。変形したことで出っ張った部分が靴によって圧迫されることで痛みや炎症が起き、症状が悪化すると靴を履いていなくても痛むようになります。

このようになる原因は、幅の狭い、つま先が細くなった靴を履くことで起きるとされ、これにより足の親指のつけ根から先が圧迫、変形していくのです。なお、ヒールの高い靴の場合は、つけ根にかかる力が増え、さらに変形を強くします。

痛みの症状があれば痛みの原因となる靴を履くのを止めて、鎮痛薬を服用します。それでも痛みが強く、靴を脱いでもその痛みをコントロールできない場合は手術療法になります。なお、程度が軽い場合や痛みが少ないのであれば、足の親指と人差し指の間に入れる装具や親指を内側へ引っ張る矯正装具などを用いたり、足の指のすべてを開く体操や運動療法を行います。

シンスプリント

走ったり、跳んだりするスポーツ（陸上競技やバスケットボールなど）でよく起きる障害です。これは、筋肉が付着する脛骨内側の骨膜に度々刺激が加わることで炎症が起きた状態です。初期には運動時にだけ、すねの骨に沿った、うずくような鈍痛が現れますが、ひどくなると歩くことも困難になってきます。

なお、シンスプリントと呼ばれるものの多くは、脛骨過労性骨膜炎（骨膜に炎症が起こることによって痛みを生じる障害）のことで、下腿疲労骨折とは違って、脛骨に沿って生じます。

痛みがある場合はスポーツ活動を休止し、下肢ストレッチングや筋力強化訓練を行います。足底板（靴の中敷き）が有効な場合もあります。

肉離れ

肉離れとは、筋肉が急激または反復的に収縮したことで、筋膜や筋線維が損傷した状態です。スポーツの最中（なかでも瞬発力が必要とされる短距離、サッカー、テニスなど）に起きることが多く、原因としては、筋肉が疲労、あるいは固くなっている、運動前のストレッチが不十分といったことが考えられています。なお、発症しやすい部位として、ふくらはぎ、ハムストリング、大腿四頭筋が挙げられています。

症状としては、筋肉の線維が切れたところによる内出血、歩行も困難になるほどの筋肉の痛みなどが現れます。治療法としては、保存療法としてテーピングなどにより筋肉の負担を減らす、氷で冷やすといった処置が行われます。そのほか湿布や塗り薬、内服薬を用いることもあり、ストレッチやマッサージも行います。肉離れは繰り返す場合があるので、しっかりと治しておくことが大切です。